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Writer's pictureMakaula Nakae

ネフェルプタァの襟飾りとホルスの眼

Updated: May 25, 2018

ネフェルプターはアメンエムハト三世の娘で、父が統治していた時に大きな役割を果たしていたと考えられています。父親は自分のピラミッドの内部に彼女の墓を用意していましたが、そこはプリンセスに使われることなく、空のままになり、彼女は自分で別の場所に墓を建設しました。そして彼女はエジプト史の中で女性として初めてカルトゥーシュの中に名前が刻まれた人物だとされています。


ネフェルプタァの襟飾り

金、カーネリアン、フェルドスパー 長さ36㎝

中間王国第12王朝 アメンエムハト三世 ハワラ ネフェルプターのピラミッド


金と半貴石の数々で造られた幅広のカラーは棺の底から発見されましたが、生前に使われていたものを棺の中に入れたのではないかと思われています。


カラーの両端のターミナルと、首の後ろから垂れ下がって重さのバランスをとるためのカウンターウェイトは、隼の頭の形をしたアミュレット(お守り)になっています。



このデザインの襟飾りは王族の男性と女性のお気に入りだっただけでなく、神格化された人物から一般庶民にまで幅広く広まっていました。裕福な人々のものには高価な素材が使われ、普通の人々は安価な素材で造られたものを着用していたとされています。


金製の留め金のモチーフになっているのは天空神ホルスの化身である隼の頭です。宝飾品としてだけではなく、魔法の力を持っているアミュレットとしての役割を果たしていた品々は数え切れないほどのヴァラエティーで発見されています。


また、この形をしている幅広のカラーの絵柄は中間王国時代のエリートたちの棺の内側に頻繁に描かれ、時々は玄室の壁にも描かれています。


この襟飾りの中で最も着目されるべき点は、ホルス神を象徴する隼の頭部の細かいディテイルで、隼の眼の周囲のデザインは実際の隼の頭に見られる模様に酷似しています。しかしそれだけではなく、一般的に〝ホルスの眼〟と呼ばれる眼とその周囲を表しているように見えるヒエログリフのヴァリエーションです。


そして隼の後頭部には涙型の雫が三日月型の受け皿に落ちています。この表現はその他にも発見されている同じモチーフの襟飾りの金具にも見られるもので、その幾つかの雫は赤い色が使われています。



ホルスの目のヴァリエーション

ホルス/隼の頭を表した金具の眼の部分は〝ホルスの眼〟のヴァリエーションで、隼の後頭部には赤い涙型の雫と三日月の形をした受け皿が描かれています。


▲第18〜19王朝時代


▲第18〜19王朝時代


▲第19王朝 トトメス三世の妻の襟飾り


以下の三つは第18王朝ツタンカーメンの三種類の襟飾りです。


一般的に〝ホルスの眼〟と呼ばれるシンボルは単体で描かれるか、四角い箱または区切りの中に収まった状態で描かれることが多いので、頭の形の中に組み込まれているのは珍しいのです。


そして人間の頭の頭部にある器官で、涙型、もしくは垂れ下がっているように見えるのは〝松果体〟です。





▲赤い部分が松果体


▶︎変容から再生させ転生させる神ケプリに続く

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